新着「最新のトピック」: プロの研究者でもまだ知らないような、出来たてホヤホヤの最新研究成果を分かりやすくお伝えします。

  • 2016年04月14日 トビイロウンカに強いイネが持つ抵抗性遺伝子の正体
    イネの大害虫トビイロウンカ

    イネの大害虫であるトビイロウンカは、針状の口を突き刺して師管液を多量に吸汁することによりイネを枯死させ、深刻な被害をもたらします。ところが、南インドやスリランカのイネの中には、トビイロウンカに強い品種があることが知られています。では、トビイロウンカに強いイネ品種はどのような抵抗性遺伝子を持っているのでしょうか?

    著者: 田村泰盛 (農業・食品産業技術総合研究機構 昆虫植物相互作用ユニット)

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  • 2016年04月07日 コメツキムシのDNAバーコーディング/種は遺伝子だけで判定できるのか?
    ツマグロハナコメツキ

    DNAバーコーディングとは、遺伝子を使って種同定をするための世界的プロジェクトです。わたしたちは、日本のコメツキムシ科についてバーコードデータベースを作りました。コメツキムシの種同定はとても難しいので、バーコードが今後役立つだろうと思ったからです。ところがそのデータを分析してみると、思いがけず「種は遺伝子だけで判別できるのか」という大きな問題に関わりそうな結果が得られてきました。

    著者: 大場裕一 (中部大学応用生物学部環境生物科学科)

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  • 2015年09月14日 カイコで遺伝子を強力に働かせることに成功
    光るカイコの幼虫

    私たち日本人にとって馴染みの深い昆虫であるカイコは、「遺伝子組換え技術」を用いることによって様々な遺伝子の機能を調べたり、また私たちの役に立つタンパク質を生産したりすることができます。今回私たちは、カイコの全身で遺伝子を強く働かせることに成功し、組換えカイコをさらに利用しやすくするための技術を開発しました (参考文献1、2)。

    著者: 坪田拓也 (農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット)
    URI: http://www.nias.affrc.go.jp/tgsilkworm/index.html

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  • 2015年06月09日 青い光が虫を殺す
    ピーク波長467nmの青色LEDパネル

    害虫の防除方法には様々なものがあります。薬剤を使って虫を殺してしまう方法が一番よく用いられていますが、光に対する虫の反応を利用して害虫の行動を制御する方法もよく知られています。私たちの研究室ではそれらとは全く違う、「光を当てるだけで害虫を殺す」という新しい防除の可能性を見つけ出しました(Hori et al. 2014)。

    著者: 渋谷和樹・堀 雅敏 (東北大学大学院農学研究科)
    URI: http://www.agri.tohoku.ac.jp/insect/index-j.html

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  • 2015年04月10日 クワガタムシにおける性的二型の発生制御メカニズム
    メタリフェルホソアカクワガタ

    クワガタムシはオスとメスで非常に異なる姿をしていることで知られています。オスは俗に「ハサミ」と呼ばれる一対の発達した大顎を持っていますが、メスではこの大顎発達は見られません。同じ種であるにも関わらず、このような全く異なった姿へと成長する背景にはどんな発生メカニズムがあるのでしょうか?

    著者: 後藤寛貴・三浦 徹 (北海道大学大学院 地球環境科学研究院 環境生物科学部門 生態遺伝学分野)

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  • 2015年04月08日 捕食者が昆虫と花の多様性を進化させる?
    オキナワアズチグモに捕食されるツチバチの一種

    昆虫と花には「昆虫は花粉を運び、代わりに蜜をもらう」という協力関係があります。ところが多くの場合、花で昆虫を待ち伏せる捕食者が、彼らの協力関係の間に入り込んでいます。捕食者は昆虫と花にとって、ただの「邪魔者」なのでしょうか?コンピューター・シミュレーションによる研究から、捕食者の存在が、昆虫と花の多様性を進化させるカギとなっている可能性が示唆されました。

    著者: 香川幸太郎 (東邦大学理学研究科)

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  • 2015年04月07日 キイロショウジョウバエの交尾行動と概日リズム
    キイロショウジョウバエの雌雄

    ほぼすべての生物はその体内に約24時間を測る概日時計をもっています。概日時計は一日の周期で変化する地球環境に適応するために,生物が進化の過程で獲得した能力です。例えば24時間周期の行動リズム(昼行性や夜行性)は概日時計でコントロールされています。概日時計は環境にリズム(昼夜のサイクル)がなくても、24時間を測ることができますが,環境にリズムがあるとそれに同調することができます。私たちは,モデル生物であるキイロショウジョウバエを用いて,オスメスの交尾行動と概日時計の関係について研究しました(Hanafusa et al. 2013)。

    著者: 吉井大志 (岡山大学・大学院自然科学研究科)

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新着「コラム」: 応用動物学/応用昆虫学の分野でいま注目されている研究成果を、第一線で活躍している研究者が解説します。

  • 2015年09月04日 脳の中の体内時計 ~キイロショウジョウバエの研究より~
    キイロショウジョウバエの雌雄

    多くの生物は約24時間を測る体内時計(概日時計)をもっています。概日時計は一日の周期で変化する地球環境に適応するために、生物が進化の過程で獲得した生物時計です。例えば睡眠覚醒などの行動リズムは概日時計でコントロールされています。では、概日時計は体の中のどこにあるのでしょうか? このコラムでは最も研究が進んでいるキイロショウジョウバエの概日時計について紹介していきます。

    著者: 吉井大志 (岡山大学・大学院自然科学研究科)

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  • 2015年04月10日 研究室紹介: 宇都宮大学大学院農学研究科・応用昆虫学研究室
    マメアブラムシ

    私たちの研究室は主にアブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの微小害虫やアブラムシに寄生する寄生蜂の生態学的形質を調査しています。また、最近では東アジアで初めて発見されたアブラムシ内部寄生性のタマバエやセイヨウミツバチなども研究テーマとして加わりました。

    著者: 稲川光一 (宇都宮大学大学院農学研究科)
    URI: http://shigen.mine.utsunomiya-u.ac.jp/oukon/

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  • 2015年04月10日 戦うオスと求愛するオス、選ぶメス
    オオツノコクヌストモドキ

    クワガタやカブトムシのオスが持つ大顎や角は、なわばりやメスをめぐるオス同士のケンカに用いられています。私たちが今回紹介するオオツノコクヌストモドキという4mm程度の小さな甲虫もまた配偶者を獲得するために、オス同士が大顎で戦います。ケンカに強いオスがメスにも好まれるとこれまで考えられてきましたが、実際はそう単純ではなく、メスとオスとの様々な駆け引きが行われていることが私たちの研究から明らかになってきました。

    著者: 香月雅子 (筑波大・生命環境)・岡田賢祐 (岡山大院・環境生命)

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  • 2015年04月09日 研究室紹介: 東北大学農学研究科・生物制御機能学研究室
    タバコシバンムシ

    東北大学農学研究科生物制御機能学研究室では様々な害虫を対象とし、その行動に関与する化学物質について日々研究しています。害虫の摂食や産卵を促進、あるいは阻害する物質を明らかにすることで、殺虫剤を使わない、環境に優しい害虫防除技術を開発することを目的としています。研究テーマの中から、今回はタバコシバンムシと斑点米カメムシに関する研究を中心にご紹介いたします。

    著者: 渋谷和樹 (東北大学大学院農学研究科)
    URI: http://www.agri.tohoku.ac.jp/insect/index-j.html

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  • 2015年04月09日 リュウキュウクロコガネのフェロモンと「怠けメス」
    フェロモンを放出するリュウキュウクロコガネのメス

    メスフェロモンに誘引されて勢いよく飛んできたリュウキュウクロコガネのオスは、メスの背にダイレクトに着地し、交尾します。一方、集合してオスを待つメスの中には、全くフェロモンを出さない「怠けメス」も混じっています。なぜなのでしょうか。フェロモンを塗布したダミー(綿球)をこのコガネムシ発生地にセットすると、メスと同じようにオスを引き寄せ着地させることができます。この実験の結果から、オスがなぜメスに着地できるのか、そして集合に怠けメスが混じっている理由、メスが集合する性質が進化した理由を考えます。

    著者: 深谷 緑 (東京大学大学院農学生命科学研究科/日本大学生物資源科学部)

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  • 2014年01月01日 農耕地の周辺環境: 露地栽培で土着天敵を利用するときに考慮すべきこと
    ヒメカメノコテントウ

    国土面積の多くを占める中山間地では農林業が重要な産業です。中山間地の農耕地周辺には森林や草地などの自然もしくは半自然植生(以下、周辺林野)が広大に広がります。こうした周辺林野は、隠れ家や餌を提供することにより害虫の天敵を維持しています。そうすることで、天敵を一時的に農耕地へ供給し、結果として農耕地で発生する害虫の抑制に役立っていることが、これまでの研究から明らかになっています。このような土着天敵による病害虫被害の軽減は、われわれ人間が知らないうちに多様な生物から受けている恩恵でもあります(生態系サービスとよばれる自然の恵みのひとつ:病害虫制御サービス)。周辺林野が持つこうした機能を上手に活用することで、環境に負荷の少ない農業を持続的に行うことができるかもしれません。

    著者: 滝 久智 (森林総合研究所 森林昆虫研究領域)

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  • 2013年12月24日 近親交配を好む虫と避ける虫
    交尾するイモゾウムシ

    近親者と交尾すること(近親交配)は避けるべきだと一般に考えられています。これは近親交配によって生まれてきた子にはしばしば有害な影響(近交弱勢)が見られるためです。しかし、近親者は自分と同じ遺伝子を持っている可能性が高いため、遺伝子の伝搬効率という観点からはむしろ近親交配は有利となり得ます。ここでは、近親交配を避けるか受け入れるかという観点から、昆虫の行動を紹介します。

    著者: 栗和田 隆 (鹿児島大学教育学部)

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